「定性」と「定量」の組み合わせ方
date
Jun 6, 2021
type
Post
status
Published
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quantitative-and-qualitative
summary
両者のバランスをとってシナジーを生み出すには
tags
UX
DataAnalysis
備考
(社内の仲間内でやってる輪読会のLT用の資料として書いてみました。)
プロダクト開発においてなにかを分析したり意思決定したりしていると
「定性(言葉、感覚)」と「定量(データ、数値)」という相反する2つのテーマが必ず現れます。
この2つは対立しがちですが、どちらか片方では偏りすぎた解釈や意思決定を生み出してしまいます。
どちらかに偏ることなく両者を上手く使い分けてバランスを取ることで、より良い意思決定ができプロダクトを成長させていくことができるはずです。
定性と定量の違い
まずは定性と定量の違いや長所短所などをまとめてみました。
「定性」 実際の感覚、言葉など
例: ユーザーインタビューなどで得られたユーザーの実際の発言や、そこから考えられる洞察など
- ⭕ 誰が何を言ったかなど、多面的で具体的な事実が見える
- ⭕ 具体的な課題がわかる
- ⭕ 数値に現れないが大切なことを見落としにくい
- 🔺 結果や変化を測るのが難しい
- 🔺 バラバラの情報が集まりやすく、全体の中でのボトルネックなどは見つけづらい
「定量」 データ、数値など
例: GoogleAnalytics, SQL, アンケート結果などから採れたデータなど
- ⭕ 結果や変化を測りやすい
- ⭕ 全体からどのあたりボトルネックになっているのかが分かりやすい
- ⭕ 曖昧ではなく信じられるものなので意思決定しやすい
- 🔺 ボトルネックが見えたとしても、ユーザーの具体的な課題が分かりづらい
- 🔺 1つの切り口に絞り込まれやすいため、全体の世界観や数字に現れない質的な大切なことを置き去りにしやすい
こうして並べてみると、お互いがお互いを補う要素であることがよく分かります。
定性定量のバランスが取れないことの問題
定性と定量どちらかに偏ると、以下のような問題が発生することもあります。
「定性」に偏った場合に起きやすい問題
- ユーザーの課題を確実に解決していくことができるが、一部のユーザーの声に引っ張られてしまい、全体の中では影響力の小さい部分に対する改善をしてしまうなど結果的にインパクトの出ない改善になってしまったりする
- リリースした施策の影響が詳しくわからないので、学びが貯まらずに次の戦略が改善されづらい
「定量」に偏った場合に起きやすい問題
- 全体の中でどこがボトルネックなのかがわかっても、実際にユーザーの課題がわからず、適切な解決がしづらい
- 短期的に数値が改善しても、全体的な世界観などを崩すような変更をしてしまったり、一部のユーザーを置き去りにするような改善をしてしまうことがある
意識的に両者のバランスを取ることが大事です。
定性と定量を組み合わせる
例えばnoteでは、以下のように定性と定量を使い分けながら戦略の意思決定を行っていたようです。
- 深津さんが成長サイクル図を作る
- それを元に樫田さんがKPIをマッピングした成長サイクルモデルを作る
- データ分析で全体像からフォーカスポイントを絞り込んでいく
- フォーカスが定まったら定性的な課題を洗い出し、抽象化してまとめる
- 抽象化した課題たちのなかからさらにフォーカスする課題をアンケート調査などから決める
- 決まった課題(Pain)へリソースを投下する
- 定量調査で効果を計測する
そのほかの例
ニジボックスさんや、ポップインサイトさんでも、同じく
定量 → 定性 → 定量
というフローで組み合わせて改善を進めているそうです。まとめ
上記をふまえて4ステップにまとめてみました。
- 定量調査によって全体像から成長しやすいフォーカスポイントをみつける
- ある程度フォーカスできたら、定性調査によって具体的な課題にフォーカスする
- フォーカスした課題に対して解決策をリリースし、定量分析で効果を測る
- どの施策が効果的だったかを振り返り、次回に活かしていく